時計の電池交換は専門知識が要求されるため、自分やることが本当にベストな方法とは限らない。
今回は、時計の電池交換における手段と費用を調査し、結果として最もベストな方法を探してみた。
そもそも、腕時計の電池交換に求めるポイントによってベストな方法は変わるが、様々なパターン別に解決方法をご提案したい。例えば、高級時計の場合は、自己修理では資産価値が下がる可能性があるため他の方法を探す。ノンブランド時計の場合は、自ら修理する手間と時間をプロに依頼したときと比べてどうなのかを調べている。
電池交換を考えるほど大事に長く使いたいと思う時計であれば、自分にとって本当に良い方法とは何なのたろうか。まずは、電池交換の方法と値段を一覧で見てみよう。
目次
腕時計の電池交換の値段と方法一覧
種類 | 時計修理店 | ホームセンター | メーカー | 自己交換 |
価格 | 1000円~4000円 | 500円~1500円 | 3000円~6000円 | 0円(要工具) |
期間 | 即日~数日 | 即日 | 二週間 | 数時間 |
技術力 | ★★★★☆ | ★★★☆☆ | ★★★★★ | 未知数 |
特徴 | プロ対応・即日 | 最安値 | 確実性・品質の保持 | 工賃無料 |
※あくまで目安としてご理解ください
電池交換の最適な手段は「何を重視するか?」で選ぶ
腕時計の電池交換は「依頼交換」「自己交換」の二つに分類できる。基本的に依頼交換するユーザーが大半だが、一部自己交換を行っている人もいるようだ。
「貴方が電池交換に何を求めるか?」で最適な手段は変化するため、ニーズに適した方法を選ぶべきである。
まずは、重視する項目と最適方法を簡潔に見ていこう。
※あまり知られていないが、時計修理には1~3級に分かれた「時計修理技能士」という国家資格があり、実務経験の年数に応じて1~3級の実技・筆記試験を受験できるようになる。無資格でも時計修理や電池交換を行うことも可能だが、有資格者の有無は依頼先を検討する際の判断基準として頭に入れておきたい。
電池交換を考えるほど愛着があったり、長期的に活用するのであれば、極力品質を重視することをオススメしたい。
ホームセンターと比べると時計修理店は若干工賃が高くなるが、1000円前後の差でプロによる対応が望めるのはコスパ的に優秀な選択肢になる。メーカーは最も信頼感のある手段だが、高価格や長期間というデメリット考慮しても、時計の価値を維持する上では最善の方法になるだろう。技術力さえあれば自己交換も手であるが、様々なデメリットがあるため一考した方が良い。
それでは、各方法について細かく解説する。
ホームセンターで腕時計の電池を交換する場合
最近、郊外だけでなく都心にも出店しているホームセンターでも、腕時計の電池交換を受け付けている店舗がある。
時計修理店・メーカーなどと比べて安価であり、利用しやすい環境から通う人も多い。
電池交換の費用目安
種類 | 価格(税別) |
国内メーカー (例:J-AXIS/マルマン) |
1,000円~ |
国内メーカー (例:セイコー/シチズン/カシオ) |
1,500円~ |
舶来 (例:グッチ/フェンディ/バーバリー) |
2,000円~ |
舶来(高級) (例:グッチ/クリスチャンディオール) |
2,500円~ |
舶来(高級) (例:オメガ/ロンジン/エルメス) |
3,000円~ |
舶来(高級) (例:カルティエ/ブルガリ) |
3,500円~ |
長所と短所
長所
・安価で利用しやすく、短時間で作業が完了するので気軽に利用できる。
・時計修理店などと提携し、専門店顔負けの品質を誇る店舗もある。
短所
・専門知識のある店員を配置していない店舗もあり、マニュアル作業を素人の店員が行うこともある。
・特殊な機構や高級品は対応できず、保証がないこともあるので、しっかり確認するべき。
メーカーで腕時計の電池を交換する場合
電池交換・修理や調整で最も確実なのはメーカーによる対応だろう。電池交換以外にも、様々な故障の点検や調整も依頼できる上、全て純正部品を使用してくれるのでトラブルも少ない。
電池交換の費用目安
おおよそ3,000円~6,000円(メーカーによって変動)
※国内メーカーは安く、海外メーカーはやや高くなることが多い
長所と短所
長所
・電池交換以外にも点検を行ってくれる。
・時計ごとに最も適した方法で行う電池交換は、長期使用する上での劣化やトラブルを最小限にする。
短所
・時計の細かい調整や部品交換を行うため、価格が高い。
・メーカー送付になるため、交換作業開始~返送までに時間が掛かる。
時計修理店で腕時計の電池を交換する場合
時計修理店は、ホームセンターとメーカーの中間にあり、電池交換を依頼するとき真っ先に思い浮かべた人も多いのではないだろうか。基本的には即日対応だが、種類によっては預かり対応として数日間を要することもある。
電池交換の費用目安(一例)
ブランド | 料金(税抜) | ブランド | 料金(税抜) | ||
IWC | 3,500円 | ディオール | 2,500円 | ||
イブ・サン・ローラン | 2,000円 | ブラックムーン | 3,000円 | ||
ヴァンクリーフ&アーペル * | 3,500円 | ティソ | 2,000〜4,000円 | ||
ウォルサム | 2,000円 | ティファニー | 3,000円 | ||
ウブロ * | 3,000円 | テクノマリーン | 3,000円 | ||
エテルナ * | 2,000〜4,000円 | トランスコンチネンツ | 2,000円 | ||
エルメス | 3,500円 | ニクソン/ ディーゼル | 皮ベルト | 2,500円 | |
エンポリオアルマーニ | 2,000円 | ステンレスベルト | 3,000円 | ||
オーデマ・ピゲ | 4,000円 | ハミルトン | 2,500円 | ||
オメガ |
デビル | 3,000円 | バーバリー | 2,500円 | |
コンステレーション | 3,500円 | バセロンコンスタンチン | 4,000円 | ||
シーマスター | 3,500円 | ピアジェ | 4,000円 | ||
スピードマスター | 3,500円 | フェンディ | 2,000円 | ||
カシオ | 3,000円 | フォリフォリ | 2,000円 | ||
カルティエ * |
3,500円 | ブライトリング | 4,000円 | ||
グッチ | 3,000円 | フランク・ミュラー | 4,000円 | ||
グランドセイコー | 2,500円 |
ブルガリ |
ブルガリブルガリ | 3,500円 | |
クレドール | ステンレス | 2,500円 | ビーゼロワン | 3,500円 | |
YG、WG | 3,000円 | タンク | 3,000円 | ||
ゲス/コーチ | 2,000円 | ソロテンポ | 3,500円 | ||
コルム | 3,500円 | アルミニウム | 4,000円 | ||
シチズン | 1,500〜2,000円 | アショーマ | 4,000円 | ||
シャネル | 3,500円 | レッタンゴロ | 4,000円 | ||
シャリオール | 2,000円 | ボーム&メルシェ * | リビエラ | 4,000円 | |
ジュベニア | 2,000円 | その他 | 2,000円 | ||
ショパール | ハッピースポーツ | 3,500円 | ポールスミス/レオナール | 2,000円 | |
ハッピーダイヤモンド | 6,000〜10,000円 | ラドー | 2,500円 | ||
スウォッチ | 1,500円 | セラミック製、超鋼製 | 3,000円 | ||
セイコー | 1,500〜2,000円 | ロレックス | 4,000円 | ||
センチュリー * | 2,500円 | ロンジン * | 皮ベルト | 2,000円 | |
タグ・ホイヤー |
3,500円 | ステンレスベルト | 2,500円 | ||
ダンヒル | 3,000円 | ルイ・ヴィトン | 3,500円 | ||
チュードル | 4,000円 | Gショック (※) | 2,500円 |
*料金にケース・ブレスレット洗浄も含まれます。
※宝石 時計 INOUE さんより引用
長所と短所
長所
・時計技師による対応は信頼度が高い、保証もあり、万が一の時も安心できる。
・仕上がりまでも即日~数日(預かりの場合)と早く・価格もバランスが良い。
短所
・修理店の場合、電池切れの解消に目的に対応をしてくれる。(メーカーは品質を保持しつつ、電池を交換することが目的)
腕時計の電池交換を自己対応する場合
自ら時計の電池交換をするのであれば、下記リスクを承知の上で実践するように。
はじめに理解しておくべき危険性
1保証の対象外になる
メーカー保証などの対象外になります。自ら時計を分解、組み立てるので当然のことです。電池交換後の不具合などもメーカーは受け付けてくれなくなりますので、ご注意を。
2価値の低下を招く
資産価値のある時計の場合、分解・組み立てによる傷などは価値の低下を招きます。分解し、内部を調整することで不具合や摩耗を誘発する可能性もあり、正直お勧めできません。
3工具準備・作業時間・手間の問題
工具を準備する費用や手間、実際に作業する労力を加味すると、数千円で解決できるのであれば専門家に任せたほうが賢明だろう。ネットの情報を頼りに行う人が多いが、素人のメモを参考に作業を行っているのと大差ないので、不確かな情報であることを理解しよう。
4トラブル例多し あくまで自己責任
ネット上には「簡単」「工具されあれば誰でも」といった解説を多く見かける。しかし、ネットに記載されている情報は、成功した例だけ記載されていることを頭に入れておこう。
以上を踏まえた上で、自分でやると選択した方は自己責任で交換してみよう。
電池交換を考えているということは、長期使用を考えている愛着のある腕時計ではないだろうか。金額ではなく、自分が気に入っている時計を壊してしまうリスクがある選択肢であることを今一度考えてほしい。失敗したら買い替えればいいと思うのであれば、何も問題はない。
以上を踏まえた上で、自分でやると選択した方は自己責任で交換してみよう。
電池交換の方法
【事前に準備する工具】
実は電池交換に必要な工具セットはアマゾンなどで販売されており、1,500円~3,000円程度で揃う。
※Amazonで評価の高い時計修理道具の一例【時計修理道具セット】
【電池交換の手順】
文章にすると非常に長くなり、言いまわしが難しい部分もあるため、電池交換をレクチャーしている動画をご紹介しよう。動画上で使われている工具類も、時計修理工具セットに含まれている一般的なものを使用している。
比較対象として、時計修理店の電池交換動画も紹介する。
【時計修理セットを用いた交換手順】
【時計修理店による作業動画】
どうだろうか。
自己交換も作業としては難度が高くなさそうに思えるが、傷やスレなどに気を付けて慎重に作業する必要がありそうだ。工具の金額と、時計修理店での費用がさほど変わらないので、数年に一度の電池交換はプロ依頼でもコスト的にあまり変わらないだろう。最後に、腕時計を電池交換したりオーバーホールする前に、高く売れる売却先を見つけて検討するのもいいだろう。
実は、動作不良の時計や電池切れの時計も、そのまま買取業者に売ることができるのだ。
電池切れ・壊れた時計も実は高く売れる
電池交換の費用や手順について、いかがだっただろうか。
思ったより高いなと感じた場合は、直すより買い替えてしまうのも手かも知れない。もちろん、時計の買取については電池交換済みの方が高価買取になるのだが、交換と価格について聞いてから判断しても遅くない。また、電池交換の負担を考慮し、自動巻きタイプの時計に切り替えるのもいいだろう。買取だけではなく、下取りを受け付けてくれる所もあるため、買取店に相談してみると良い選択肢が生まれることも。
ただ、一般的に時計の買取価格を公開している買取店でも、電池の切れた時計は買取拒否されてしまう可能性がある。電池交換されていないことを理由に、大幅に買取価格を下げて交渉されるケースもあるため、複数の買取店から見積もりをもらうことが大切だ。
使えば使うほどに時計の価値は下がるため、心機一転の買い替えは良い作戦の一つになるだろう。
電池切れや動作不良の時計でも高く売れる理由
理由としては、時計の買取店が修理工房を自社保有・提携していることが多く、メンテナンスや修繕を効率的に行えるからだ。部品交換で修復可能なレベルの故障であれば、工賃を抑えた上でリペア・再販出来るため、結果として高価買取に繋がる。その他にも、メーカー修理後に再販したり、分解してパーツ毎に販売するケースもあるため、高級時計は不動品にも価値が付きやすいのだ。
特に、電池切れなどの理由で不動の場合は、その他に問題が無ければ必要以上に安く買取られることはない。
時計が一番高く売れる買取店の探し方
時計査定の窓口では、一度の申し込みで最大8社の時計買取店に査定額を問い合わせることができる。査定を受け取る買取店は、他社と価格を競うように提示してアピールしてくれるため、結果として電池交換よりも売却する方が好条件になることもあるだろう。
買取後にメンテナンスや修理が必要な腕時計の場合、買取店毎の価格差が大きくなりやすいため、複数社の結果を調べるのはとても重要なことだ。電池交換して使い続けるのも良し、価値が高いうちに販売して、新しい時計と出会うのも良いだろう。
あなたの時計は、今売るといくらになるだろうか?