「腕時計が動かなくなってしまった。」「異音が聞こえる。」「ガラスが割れてしまった。」など、大切な時計が故障・破損してしまった時には、どうすれば良いだろうか。本記事では、時計修理に関する費用・方法の解説を含めた「どこに?」「いくらで?」という部分の解決を図っている。
まずは、時計修理箇所と費用について、リサーチした結果を紹介しよう。
腕時計の修理箇所と費用について
本章では、最もスタンダードな時計修理店の内容と費用感について見ていこう。
【修理内容と費用まとめ】※金額は目安
腕時計のオーバーホール(分解清掃) 料金 10,000円前後~
腕時計の電池切れ・電池交換の料金 500円~
箕郷の時計屋さん
小堀時計店♪⌚️
今回は腕時計2本の電池交換を追加でお願いしました!
自分のタグホイヤーは電池交換と
文字の箇所のスミ入れ♪3本の腕時計がまた貴重な時を刻み続ける事が出来るようになりました!
大変ありがとうございました😄
電池消費頑張ります∑(゚Д゚)えっ! pic.twitter.com/BKbcUOLG8C— BAR NEXT 群馬/前橋/大友 (@BARNEXT2017) August 2, 2018
時計が止まった、秒針が動かないなどのトラブルで真っ先に疑うべき項目である。電池交換を放置すると劣化による液漏れや錆付きなどのトラブルを引き起こし、時計本体の故障に繋がる危険性がある。単なる電池切れだろうと放置することで本当に壊れてしまうケースも多いため、早めに対処しておいた方が良い。
一言で電池交換といってもブランド次第で料金は全然変わってくる。
目安は500円~4000円前後だ。
詳しくは電池交換の記事を見ていただきたい。
腕時計のパッキン交換・修繕の料金 500円~
ルミノックスの電池交換がめちゃ高いから自分で交換してみた
内側のパッキンが劣化してて埃が上手に取り除けず…💦シリコングリスは塗ったけど、これじゃ防水性は期待できないなぁ😇次回は高くても時計屋さんで交換してもらおかな
あと、分解して気付いたけど、腕時計ってすごい汚れてるね😂 pic.twitter.com/7K0BdWNN3U— かろん (@karon693) April 24, 2018
ケースや裏蓋の隙間を埋めるように取り付けられているゴム製の部品が「パッキン」である。
(※中にはプラスチック製もある。)
腕時計の防水・防塵性能を保つためのパーツであり、劣化した際には迅速に交換すべきものだ。劣化は時計内部の錆や汚れに直結し、時計本体の寿命をどんどん縮めてしまう。温度や湿度の変化により経年劣化するので、定期的に交換しておくと長く時計を愛用できるだろう。
腕時計のベルト調節の料金 500円~
腕時計のベルト調整自分でやったらすげー大変だった
これからは店に持ってこう pic.twitter.com/OlAh8mgDek— dj kohno (ケツメイシ) (@kohnodj) August 9, 2017
ベルトの長さは一般的に、ベルトと手首にの間に指一本入る程度が適切な長さと言われている。
購入時に調整するイメージだが、体系の変化にあわせて適切な長さに変更することも大切だ。ベルトを合わせることで、手首の負担軽減や落下を避けたり、着用時の見栄えが良くなる効果もある。ベルト交換の作業は数分程度で終わるが、希少価値の高い時計や劣化状態によっては預かり作業になるので注意。
腕時計のベルト交換の料金 1000円~
腕時計のベルト交換
今回はオメガのスピードマスター
メタルからレザーベルトへ
メチャクチャかっこいいです!!
12000円から受付います!! pic.twitter.com/cn9RoQCiKZ— 天草製作所(西荻) (@NishimoriShinji) April 28, 2016
ベルト交換は純正品以外にも、好みの品を持ち込んでカスタマイズすることができる。
※ただし、メーカーに交換依頼した場合は純正品での交換になる。
例えば、名前を刻印したり、宝石を取り付けた独自のデザインに仕上げる人もいるのだ。手作りの時計や、プラスチック製のベルトは交換NGにしているお店もあるので、対応の可否は予め聞いておいた方がいい。
腕時計の針交換・取付修理の料金 2,000円~
最悪
時計壊れた
針が向いてはいけない方向に向いてる…
修理高そうだな… pic.twitter.com/BFrAuCGc— たたたたなか! (@ryota_tanaka_) November 16, 2012
時計の命である針が取れてしまった場合は、なるべく早めに修理店やメーカーに修理依頼することをオススメする。
また、針が外れるということはそれだけ大きな衝撃があったと考えられるので、内部にもダメージが及んでいる可能性も高い。作業的には1日程度で済むことが多いが、特殊な機構の時計やブランドによっては預かり・お断りとなるケースも。
腕時計のリューズ交換・修理の料金 4,500円~
先月、愛用の手巻き腕時計が壊れてしまったので明日修理出してきます😂
リューズが折れてしまったので、修理の混み具合により全治2週間~1ヶ月になる予定⌚😱 pic.twitter.com/BeLhHcJQBa— (๑˃̵ᴗ˂̵)و ヤマSan(パリ山)♉ (@Pari_Yama_Pippi) January 16, 2019
腕時計のリューズ(竜頭)は、ケースの横に付いているダイアル状の部品のこと。
ダイヤルを回して日付や時刻の調整をするため、使用頻度は比較的高く「消耗しやすい」パーツの一つ。時計内部の「巻き芯」と呼ばれるパーツに上からはめ込む形で装着しているため、リューズだけ取れてしまうことがある。金属疲労で巻き芯が折れていたり、巻き芯も一緒に外れている場合は、そのままにすると内部劣化・摩耗を速めるので注意。
腕時計のガラス(風防)の修理・交換料金 5,500円~
老夫婦が営む
近所の老舗時計店で
僕所有SEIKO腕時計(自動巻き)のガラスを修理してきた
ガラス面が傷だらけで
残念な感じだったが
美しく生まれ変わりました。
お世話になってる
老舗時計店いつまでも
営業続けて下さい。
歩くのが辛そうなおじいさんいつまでも元気で居てくださいな! pic.twitter.com/XH18LUMgjb— 俳優ゴジモン[公式] (@Gojimon) August 29, 2019
時計のガラス(風防)が破損した場合は、衝撃による内部ダメージの可能性もあるので早めに対処しよう。
素材別に相場は多少前後するが、大体の目安はこんな感じだ。
アクリル素材 5,500円~
ミネラルガラス素材 10,000円~
サファイアガラス素材 15,000円~
傷の修理 10,000円~
細かいガラス片が時計内部に入ってしまうこともあり、オーバーホール(分解清掃)やその他部品の交換が必要なケースもある。特殊な耐圧ガラスなど、一般的でない素材を使っているものはメーカー対応を覚悟した方がいい。
腕時計のオーバーホール(分解清掃) 料金 10,000円前後~
7ヶ月にも及ぶ長いオーバーホール期間を経て、最愛の腕時計が戻って来ました。不動の状態でかなりの部品が壊れていたようです。古い時計で日本国内には部品がなくスイス本国よりいろいろな部品を取り寄せて貰い磨きもかけて貰いました。ピカピカ!やっぱピンクゴールドって良いですね! pic.twitter.com/wSVE9hvwpe
— ヒロトP an@ハンドパン(和泉ヒロト)handpan【公式】 (@deecloud) February 11, 2017
腕時計のパーツを細かく分解し、状態確認と洗浄を行うメンテナンスの一つ。
目安は3~6年に一度であり、定期的なオーバーホールは時計の品質を保つ上で重要なメンテナンスになる。劣化パーツの交換・動きの調整まで細かく行い、新品に近い状態へと仕上げてくれる。
オーバーホールの料金目安
ノンブランドの時計 10,000円~
ブランドの時計 30,000円~
正直、修理業者によって値段や品質が全然違うので「複数店から見積もりを貰う・口コミサイトを確認する」などの下調べをしてから依頼するようにしよう。
以上が時計修理店の費用感と修理項目についてのリサーチ結果だ。一般的には時計修理店へ持ち込む方が大半であるが、その他にどのような方法があるのか。次の章では腕時計修理の選択肢とメリット/デメリットをまとめてご紹介する。
腕時計の修理は「メーカー」「時計修理店」の二択
数百の部品が組み合わさって動作する、精密機器の一つ「腕時計」
専門知識を持った時計技師たちが、細かく丁寧に調査・交換・調整することで修理する過程は、正に職人芸と言えるだろう。そんな時計修理を依頼するとして、選択肢は大きく分けて二つに分けられる。
それが「メーカー」「時計修理店」という2つのカテゴリだ。
本章では、両者の違い・オススメの依頼先について書いていく。
※中には自己修理を考える方もいると思うが、保証の対象外になることは勿論、症状を悪化させてしまう可能性もあるため、今回は論外としておく。
「メーカー修理」「時計修理店」それぞれの違い
メーカーと時計修理店の違いを理解するには、費用や期間・技術力といったものではなく「主眼を何に置くか。」という考え方の違いを知るべきだ。
①修理に対する考え方
時計修理店
問題を解決するために、腕時計の部品交換や調整・クリーニングを行ってくれる。
メーカーの場合
時計本来の品質を保つことを主眼に、故障以外の劣化や摩耗にも細かく対応してくれる。
そのため、時計修理店では交換の必要が無いと判断された部品でも、メーカー対応の場合は要交換として見積もりをされることもあるようだ。価格面においてもメーカー対応の方が高額なため、時計修理店がコスパの良さで一歩リードしている。
②価格面の違い
時計修理店
問題個所への対応が主のため、工賃や部品代が限定的である。
費用についてはブランド別・タイプ別に分けられており、数千円~とメーカーと比べて安価だ。
メーカー
品質維持を目的に対応するので、問題個所以外の交換・点検・調整を含めた工賃と部品代が必要になる。
費用について、時計本体の価格からパーセンテージで算出するため、高額な時計ほど修理費用も掛かってしまう。
品質を保ったまま長く愛用したいと考えるのであれば、メーカー対応が最善手となる。本体の価格が数百万~数千万するクラスの時計は、修理店から断られてしまうケースもあるので、メーカー対応がいいだろう。
最後に、修理期間の違いについて説明する。
③修理期間の差
時計修理店
見積もり~作業完了までは最短1日、長くても一ヵ月程度で終わるケースが多い。
依頼先を決めるまでに、複数店の見積もりを比べる時間が必要なので、もう一週間くらいは余裕をもって考えておこう。
メーカー
国内メーカーの場合は作業完了まで二週間~一ヵ月程度、海外メーカーは二週間~最長で半年必要なこともあるので、期間には注意しよう。製造元が部品を保有していれば早く終わるが、無いときは長期化することが多い。
時計修理店は自社の工房ですぐに修理対応するので早いが、メーカーは修理工場までの輸送時間も必要なので時間が掛かってしまう。海外メーカーは国内工場では対応できず、本国に輸送しての修理となった場合、二ヵ月以上のロングスパンを覚悟しなくてはならない。
3つの違いを解説したが、主眼を何に置くかを知ることで、費用や期間の違いにもある程度納得できただろうか。筆者の結論としては、時計修理店へ持ち込んで見積もりすることを第一におすすめしたい。
時計修理店をオススメする理由
メーカー・時計修理店の違いを見た訳だが、時計修理店に断られる品物でない限りは、時計修理店へ依頼するほうが良い結果になるだろう。
国内メーカー・海外メーカー含め、どんなメーカーでも修理内容に一定の基準を設けているので、柔軟な対応が行えないことがある。時計修理店では基準を関係なしに、効率的な手法で対応できるため、早く・安く修理できるケースも多い。作業内容については保証がある修理店が殆どなので、万が一の時も安心できる。
メーカーと同じく保証があり、作業が早くて低コストなことを加味すると、修理店からNGが出るような品物以外はお任せしていいだろう。
時計修理店を選ぶときのポイント
次に、時計修理店の選び方について書いていく。
メーカーでの修理対応が長期・高額に対して、時計修理店は短期で安く仕上がるところが大きな魅力だ。しかし、数多くある時計修理店の中から、信頼できるお店を探すにはどうすれば良いのだろうか。腕時計の修理・オーバーホールの依頼するお店はどう選ぶべきか考える。
スピードや価格だけではなく、顧客第一主義であることが最も大切な要素である。安全・安心して修理を任せることが出来る修理店を探すことが、最も良い手段だからだ。
【選ぶ際のポイント】
①保証期間があるか(安全性)
②見積もりの比較(価格・納期)
③口コミ・SNSチェック(信用性)
①保証期間の有無
時計の修理店の中には、修理後の保証期間を設けているお店と、設けていないお店がある。
公式サイトや看板などに記載されているため、必ず保証期間の有無はチェックするようにしよう。万が一、修理後に不具合が発生することも考えた上で、保証があるお店を選ぶべきである。「保証期間を設ける=修理品質に責任を持つ」とも捉えられるので、とても大事なポイント。
②見積もりの比較
修理費用の相場を知り、適切な価格帯で依頼するためにも複数社の見積もり比較は重要。
後記のよくあるトラブル例にもあるのだが、不必要な部品交換などを見積もりに加えられるケースもある。それに修理価格も依頼が集中する繁忙期にはやや高くなる傾向にあるので、複数社への見積もり依頼をすると時計修理で損する可能性を大きく下げることが出来るからだ。
少なくとも3社以上の修理店から見積もりをもらい、修理項目・納期・値段をチェックするようにしよう。この中から候補を絞った後は、口コミ・SNSでの最終チェックだ。
③口コミ・SNSチェック
候補を絞った後は、最後の確認も兼ねて修理店の名前でネット検索・SNSチェックをしよう。
ここで注意なのは、企業が運営している口コミサイトは避けることだ。大体、作為的にレビューが操作されていたり、サクラの書き込みが多い。ブログやSNSなどの個人が発信している情報を集めて判断することが大切である。特にTwitterなどのSNSには情報が多くあるので、店舗名や企業名で一度調べてみると良い。
時計修理に関連したトラブル例と対応方法
時計修理店ってどこも同じじゃないの?と思われる方も多いと思うが、そんなことは全くない。
安ければ・早ければ良いという訳ではなく、質の良いお店を選ぶことが結果としてトラブルを回避し、無駄な出費を抑えた賢い時計修理に繋がる。
①必要ない交換や修理を要求された
明らかに修理項目が多い場合は、一度返送して貰い、他の修理業者にも見積もりを依頼すると良い。複数の見積もりをチェックすることで、修理項目が不必要に多い業者を避けることが出来る。修理相場を把握するためにも、複数社の見積もりは大切である。
②作業中に別途対応として追加料金を求められた
予め、追加料金が必要になるケースを聞いておく。本当に必要であればいいが、不必要に追加料金を求める悪質業者の可能性もある。事前の口コミ・SNSチェックで評判を調査しよう。
③運搬・作業中に出来たと思われる傷が見つかった
修理依頼する前に写真を撮って保存しておこう。その上で、現状と修理前の写真を見せて保証を求めると解決が早い。郵送で修理依頼する場合、宅配保険が適用されるかも確認しておくべき項目である。
壊れた時計を買取専門店に「高く売る」方法
修理費用が高額な場合、壊れた時計を売却し、新たな時計を購入するのもアリだ。
壊れた時計は二束三文のイメージがあるが、時計の買取店へ持ち込むと意外にも高く売れる。ブランドによって買取価格は異なるものの、修理工房を併設・提携している買取店などが特に高い。修理して再販したり、分解してパーツ毎に活用するなど、壊れた時計にも価値が付くのだ。一般的な時計の買取とはやや違う相場観になるため、売却する際には最低でも3社以上の候補を見つけて査定の比較をしておこう。
時計査定の窓口では、壊れた時計でも一度に複数社の査定を比べることが可能。数万円単位で差額が出ることもあり、下取りの希望を伝えることで、お得に買い替えられることもある。
時計を修理する値段と買取額を比べて判断し、自分にとって一番ベストな方法を見つけては如何だろうか。